犯罪心理学研究
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原著
不合理な欲求不満に対する攻撃反応と原因情報
大渕 憲一
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1982 年 19 巻 1.2 号 p. 11-20

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抄録

本研究の目的は,欲求不満の原因に関する情報が被害者の攻撃反応に影響するかどうか検討することである.88人の大学生は欲求不満物語を読んで反応を書くよう求められた.各被験者は1組の物語を渡されたが,それは次の4種類の原因情報のいづれかを表わすものであった:自己中心的動機,怠慢,強制,事故.従属測度毎に,性別(2)x原因情報(4)x状況(2)の分散分析が行われた.被験者は男女とも,自己中心的動機を原因とする欲求不満に対して被害者の攻撃が最大になり,以下,怠慢,強制,事故の順になると判断した.これはcovert水準でもovert水準でも同様だった.この結果から,被害者の攻撃反応は欲求不満の知覚された不合理さに依存し,不合理さは欲求不満の原因に関する推測によって決められることが示唆される.また,欲求不満反応が阻止者への自由意志の帰属や態度推測に媒介されることも示唆された.

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© 1982 日本犯罪心理学会
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