1982 年 19 巻 1.2 号 p. 39-45
大阪少年鑑別所に入所した在日朝鮮人三世非行少年100人(K群)及び日本人非行少年100人(J群)を対象として,Katz & Bralyの手法により民族的ステレオタイプと好悪感清についての調査研究を実施した。その結果,K群は,J群の欧米先進諸国に対する民族的劣等感を共有しているうえ,日本人に対する民族的劣等感をも併せ持っていることが明らかとなった。そして,J群の欧米先進諸国に対する民族的劣等感の解消が,投射的補償(典型的には朝鮮人へ向けての)という機制を取りやすいのに対して,K群の日本人に対するそれは,脱朝鮮人化,日本人化へのカ学として作用しやすいことを論じた。