2003 年 41 巻 1 号 p. 1-14
本研究は,実務プロファイリングに使用する民家対象窃盗犯のデータベース構築を目的として実施された.そのため,民家対象窃盗犯は,金銭動機と性的動機という動機の違いに応じて,様々な犯人特性が異なるかどうか,また,それぞれを,同一データベースのサンプルとして扱ってよいかどうかが検討された.
分析対象として,犯行を自供した男性の民家対象窃盗犯168名の捜査資料が収集された.これらの窃盗犯は,金銭の窃取を犯行動機として現金(一部品物を含む)を盗んだ100名の現金群と,性的動機に基づいて女性の衣類や下着を盗んだ68名の色情群とに分類された.そして,検挙時に窃盗犯の取り調べを担当した警察官に,調査票を配布し回答を求めた.調査票の内容は,大きく人物像に関する項目,犯行方法に関する項目,取り調べに関する項目で構成され,得られた結果は,X2乗検定によって両群聞の比較が行われた.
その結果,両群間には,3項目聞の多くで有意な差が認められ,犯人特性が異なる傾向が示唆された.そのため,両群を,同一データベースのサンプルとして取り扱うと,各群の特性が十分に反映されない可能性があり,群別にデータベースを構築した方が望ましいと考えられる.