わが国では,非行少年に対する司法的な意思決定を助けるため,構造化されたリスクアセスメントの作成が重要な課題となっている。本研究では,少年鑑別所を退所した1,080人の非行少年の再入状況を分析した。再入リスク要因を反社会的な態度,薬物乱用など7領域に分け,それぞれの領域ごとにCox比例ハザードモデルによる生存時間分析を行い,どのような要因が再入に影響を与えているかを探った。その結果,リスク要因として多くの静的,動的な因子を同定することができた。さらに,分析によって抽出されたリスク項目を用いて,リスクアセスメントのためのプロトタイプを作成し,一定水準の精度を得ることができた。考察では,今後,わが国において,実用的で,精度の高いリスクアセスメントを構築していくための方向性について検討した。