犯罪心理学研究
Online ISSN : 2424-2128
Print ISSN : 0017-7547
ISSN-L : 0017-7547
資料
一連の法的措置による経験が非行少年の更生に与える影響
藤井 淑子
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 47 巻 1 号 p. 21-35

詳細
抄録

非行をしたことで受ける一連の法的措置による経験が,非行少年の更生にどのような影響を与えているか,保護観察対象者に半構造化面接を行って検討した。一連の法的措置は汎理論的モデルの変容ステージと対応すると想定し,更生するためにはまず適応的に振舞おうとする変化が生じていなければならないと考えられるため,変容ステージの初期の前熟考期や熟考期に焦点を当て,そこで有効とされていて非行に関連すると思われる変容プロセスの情動的喚起,再評価(自己再評価,環境再評価)を取り上げた。

情動的喚起や再評価は,逮捕・勾留の間や観護措置の間の審判までの身柄が拘束されている間に起こりやすいが,そのときに行動変容しようと思うのは,自由にできないという身柄拘束に伴う効果もあるものの,一連の法的措置を経る中で周りから働きかけを受けて,少年自身が考えたり,これをきっかけに変わろうという構えを持つことの意味のほうが大きいと考えられる。また,どのような情動的喚起や再評価が起こるかについては,家族に関するもののほか,身柄拘束されたくないということや仕事のことも重要な意味を持つと考えられる。

著者関連情報
© 2009 日本犯罪心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top