犯罪心理学研究
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女子大生の防犯意識の形成について―抑うつの影響の観点から―
笹竹 英穂
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2010 年 47 巻 2 号 p. 15-31

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抄録

女子大生の防犯意識の形成について,特に抑うつの影響に焦点を当てて明らかにすることを本研究の目的とした。平成15年4月にA女子大学の女子学生2~4年生計878名に対して調査を実施した。調査内容は,抑うつ尺度として用いた日本版GHQ30精神健康調査と,防犯意識の形成についての基本モデル(笹竹,2008)で使用されている質問項目である。分析の結果,抑うつは犯罪不安と犯罪情報への関心の関係性を抑制する一方で,犯罪情報への関心と防犯意識の関係性を克進させることが示された。また防犯意識を従属変数とし,抑うつと犯罪情報への関心を独立変数とする2元配置分散分析を行った。その結果交互作用が有意であり,抑うつ高群は抑うつ低群と比較して防犯意識は低いものの,抑うつ高群のなかで犯罪情報への関心の高い者は,防犯意識を高く持つことができることが示された。これらの結果について,精神活動抑制(制止)や自己注目の概念を用いて考察が行われた。

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© 2010 日本犯罪心理学会
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