2014 年 52 巻 1 号 p. 17-30
日本のいじめに関する先行研究は,いじめの加害(被害)は短期間で加害(被害)以外の行動に変化することを強調している。他方,欧米の研究は,いじめ加害(被害)の継続的な側面を強調する。そこで,本研究は,118名の大学生におけるいじめの加害(被害)の次の加害(被害)への効果を,3か月間隔で行った2ウェーブの縦断的調査のデータを用いて検討した。重回帰分析によると,他の交絡因子の効果を統制した後でも,いじめ加害は正で有意ではあるが弱い効果(b*=.24, 95%CL[.05, .43], 全学年)を次のいじめ加害に対して有することが分かった。同様に,いじめ被害は正で有意で強い効果(b*=.45, 95%CL[.29, .65],2年生;b*=.74, 95%CL[.56, .97],3年生)を次のいじめ被害に対して有することも分かった。これらの結果について,いじめ被害の不確実性の視点から考察した。