日本外科系連合学会誌
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症例
結腸間膜裂孔ヘルニア術後に左側胆嚢によると考えられる胃排出障害を起こした1例
境 雄大
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2007 年 32 巻 2 号 p. 220-225

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抄録
症例は16歳の男性で, 嘔吐と腹痛を主訴に当院を受診した。腹部CTで絞扼性イレウスと診断し, 緊急開腹術を行った。上腸間膜動脈右側前面で横行結腸間膜からLadd靭帯で固定された上行結腸間膜にヘルニア門を有し, 結腸背側に大量の小腸が陥入していた。内ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断した。小腸広範囲切除術, ヘルニア嚢切除, ヘルニア門閉鎖, Ladd靭帯切離, 右側結腸の固定, 予防的虫垂切除を行った。術後, 胃管からの排液が増量・遷延した。胃X線検査で胃排出障害を認め, 腹部造影CTで拡張した左側胆嚢と膵臓の間で胃の狭窄が疑われた。保存的治療を継続し, 術後53日目に胃X線検査で改善傾向を認めた。術後68日目から食事を開始し, 術後84日目に退院した。退院前のCTで胆嚢と膵臓との間での胃の狭窄は軽快していた。本症例の胃排出障害では術後の急性胃拡張に加え, 腫大した左側胆嚢による胃の圧排が関与した可能性がある。
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© 2007 日本外科系連合学会
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