抄録
今回われわれは, 習慣性飲酒に起因する慢性膵炎急性増悪のために, 長年にわたり入退院を繰り返していた患者に対して膵管空腸側々吻合術を行い, 非常に良好な結果を得ることができた。症例は58歳, 男性で, 約10年前に出血性巨大胃潰瘍穿孔のために, 幽門側胃切除術 (Billroth-I法再建) を受けた。その後も飲酒・喫煙の習慣を断つことができず, 慢性膵炎急性増悪のために毎年数回の入院, 保存的治療を受けていたが, 今回は手術治療を選択するに至った。術後3年を経過したが, この間以前と変わらない生活態度であるにもかからわず疼痛の発症はなく, しかも時間の経過とともにCT画像上では遺残膵石の減少および膵嚢胞の消退を認めるという非常に良好な結果となっている。