日本外科系連合学会誌
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症例
膵頭部腫瘤を呈した巨大な孤立性リンパ節転移を伴う胆嚢癌の1例
碓井 健文塩澤 俊一土屋 玲金 達浩猪瀬 悟史会澤 雅樹吉松 和彦勝部 隆男成高 義彦小川 健治
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2007 年 32 巻 4 号 p. 672-676

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抄録
患者は71歳の女性。近医で胆嚢結石の経過観察で行った腹部超音波検査で膵頭部に腫瘍を指摘され当科紹介となった。腹部CT検査では膵頭後部に5cm大の内部不均一な腫瘤, 胆嚢内に1.5cmの結石と底部のわずかな壁肥厚を認めた。ERCPで総胆管の圧排所見がみられたが, 胆管狭窄像や胆嚢内に悪性をつよく示唆する所見は認めなかった。以上より, 膵頭部の腺房細胞癌, 漿液性膵嚢胞性腫瘍などを疑い手術を施行した。開腹すると, 腫瘍は約5cmで膵頭部背側から発生し, 肝十二指腸間膜, 胆嚢を圧排, 頭側は肝尾状葉と癒着していた。膵頭部領域の悪性腫瘍と診断し, 尾状葉部分切除を伴う幽門輪温存膵頭十二指腸切除術, 2群リンパ節郭清を施行した。病理組織学的検査で膵頭部後部の腫瘍は巨大な孤立性転移リンパ節で, 胆嚢底部の漿膜下層におよぶ低分化腺癌からのリンパ節転移と診断した。胆嚢癌で孤立性に跳躍リンパ節転移する例は非常に少なく, 自験例は示唆に富む症例と考えられる。
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© 2007 日本外科系連合学会
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