2007 年 32 巻 6 号 p. 862-865
症例は26歳, 男性。腹痛と嘔吐で緊急入院した。腹部CTおよび注腸検査で回腸結腸型腸重積症と診断し, 開腹手術を施行した。開腹時, 回腸末端部から上行結腸にかけて約20cmの腸重積を認め, この重積部から口側の回腸は約20cmにわたり浮腫状であった。正常部との境界付近の回腸に, 脂肪織を伴って全層性に腸管内に内翻する拇指頭大の腫瘤を認めた。重積の整復を試みたが不可能で, 浮腫状回腸約20cmを含む回盲部切除術を施行した。肉眼所見は回腸回腸結腸型の腸重積で, 上行結腸内に重積した回腸は壊死に陥っていたが腫瘤性病変はなかった。また, 回腸末端から約60cm口側に, 手術時, 腸重積の原因と考えた腸管内腔に突出する5×4×2cmの病変を認め, 内翻したMeckel憩室と診断した。成人腸重積の原因疾患は腫瘍性疾患がほとんどで, 本症例のように内翻したMeckel憩室は稀であり, 若干の文献的考察を加えて報告する。