日本外科系連合学会誌
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症例
特発性血小板減少性紫斑病併存横行結腸癌に対する術前免疫グロブリン大量療法により高度好中球減少症をきたした1例
竹林 正孝若月 俊郎谷田 理
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2007 年 32 巻 6 号 p. 871-875

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抄録

症例は54歳, 女性。35歳からITPに罹患。他院の検診で便潜血反応陽性となり, 大腸内視鏡検査が施行され横行結腸癌と診断された。当科紹介され入院となった。入院後, 血小板が3.4×104/μlまで減少していたため術前免疫グロブリン大量療法を行うこととし, 免疫グロブリン20g/日を5日間投与した。4日目以降に血小板は上昇したが, 発熱性好中球減少症をきたし手術は延期した。自然経過をみたが, 14日目には血小板17.2万/μl, 白血球5,000/μlと回復したため16日目に横行結腸切除術および摘脾術を施行した。術後経過は良好で術後15日目に退院した。ITP患者における術前の免疫グロブリン大量療法での好中球減少症の発生率は0.1%未満とされており, 極めて稀な副作用である。本例のように副作用発生時の手術の時期については専門医との検討が不可欠である。

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© 2007 日本外科系連合学会
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