日本外科系連合学会誌
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症例
五次化学療法としてビノレルビンが著効した乳癌術後多発性肝転移の1例
五十畑 則之渡辺 修清水 忠夫平野 明木下 淳道本 薫小川 健治
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キーワード: 乳癌, ビノレルビン, 肝転移
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2007 年 32 巻 6 号 p. 895-898

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抄録

症例は59歳, 女性。左乳癌の診断で, 1998年12月左乳房温存術を施行, 術後補助療法としてCMFを6サイクル行った。2年半後肝転移が出現しCAFを4サイクル施行, その後パクリタキセルを週1回投与しPRと判定した。その後腫瘍のコントロールは良好であったが, 2年4カ月後PDとなった。ドセタキセル, 続いてカペシタビンを投与したが無効で肝転移は増悪, CA15-3は300U/mlと著明に上昇, 全身倦怠感, ふらつき, 肝機能障害が出現し入院した。CT上肝転移は多発性で, 五次化学療法としてビノレルビンを投与した。1コースで臨床症状は著明に改善し, 肝機能もほぼ正常化して退院した。4コース終了後のCTで肝転移は著明に縮小しPRと判定, CA15-3も41.7U/mlまで低下した。有害事象はGrade 3の白血球減少, 好中球減少を認めたが, 退院後も外来で同治療の継続が可能であった。TTPは242日とかなり長期で五次化学療法としては良好な成績であった。

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© 2007 日本外科系連合学会
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