日本外科系連合学会誌
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症例
治療に難渋した胆石イレウスの1例
栄 政之上西 崇弘金田 和久田中 肖吾山本 隆嗣大野 耕一久保 正二
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2007 年 32 巻 6 号 p. 899-903

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抄録

症例は68歳, 女性。既往として脳梗塞があり, リハビリ通院中であった。平成16年8月, 腹痛, 嘔吐が増悪し意識障害が出現したため救急搬送された。腹部CT検査で小腸内異物と, それより口側の腸管拡張が認められた。腸閉塞と診断しイレウス管を挿入したところ, 回腸に約3.5cm大の腫瘤像が認められ, 閉塞機転となっていた。8日後のCT検査で腸管内異物の位置移動が認められた。以上より, 胆石イレウスと診断して開腹したが, 術中循環動態が不安定でイレウス解除術 (胆石除去) のみを施行した。術後に総胆管結石による胆管炎が発症したため, 内視鏡的に結石を除去した。術後約3年の現在, リハビリに励んでいる。胆石イレウスに対する治療では患者の全身状態が許せばイレウス解除術に胆道根治術を追加することが望ましいが, 患者の全身状態に合わせた治療法の選択が重要であると考えられた。

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© 2007 日本外科系連合学会
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