抄録
症例1は72歳,女性,胃癌にて手術を施行された。2年後の腹部CTにて傍大動脈リンパ節の腫大を指摘され,胃癌再発と診断,S-1を開始した。用量は80mg/body/dayで,2週間投与1週間休薬のスケジュールとした。開始後6カ月目より,かすみ目,流涙がみられ,涙小管狭窄,角膜混濁と診断された。S-1中止の上,角膜混濁には点眼薬を投与し,流涙にはシリコンチューブを涙小管内に留置し改善した。症例2は74歳,男性,結腸癌,多発肝転移に対し手術を施行した。術後S-1を80mg/body/dayで開始したが,開始後3カ月目より流涙がみられ,涙小管狭窄症,角膜混濁と診断された。S-1中止の上,シリコンチューブを留置し,流涙は軽快した。
S-1投与に伴う涙小管閉塞症,角膜障害などの眼障害は,頻度は少ないが高度になると非可逆的な経過をたどることもあり,注意すべきである。