日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
臨床経験
S状結腸憩室炎に起因した結腸膀胱瘻症例の検討
中川 国利小林 照忠遠藤 公人鈴木 幸正
著者情報
キーワード: 結腸憩室炎, 結腸膀胱瘻
ジャーナル フリー

2008 年 33 巻 4 号 p. 570-573

詳細
抄録

 過去18年間に,S状結腸憩室炎に起因した結腸膀胱瘻症例6例を経験したので報告する。年齢は平均55.2歳で,男性5例,女性1例であった。なお女性は子宮摘出術の既往歴を有していた。主訴はいずれも糞尿で,病悩期間は3カ月以内であった。術前検査では全例で,尿検査で細菌を検出した。また大腸内視鏡検査や注腸造影検査では,いずれもS状結腸に多数の憩室を認めた。さらにCT検査では膀胱内に空気を全例で,注腸造影検査では膀胱への造影剤流入を2例で認めた。以上から,S状結腸憩室炎に起因した結腸膀胱瘻と全例で術前診断した。手術は結腸を膀胱から鋭的に切離し,結腸膀胱瘻が存在した膀胱壁は部分切除や縫合閉鎖を施行した。さらに憩室が存在する結腸を切除した。結腸膀胱瘻は糞尿や気尿が特異的な主訴であり,膀胱内の空気はCT検査により容易に診断可能であった。また結腸憩室炎による結腸膀胱瘻の治療は,瘻孔切除を伴う結腸切除が基本である。

著者関連情報
© 2008 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top