日本外科系連合学会誌
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臨床経験
手術摘出肝組織の公共的組織バンクへの提供システムの構築
遠藤 光史土田 明彦小澤 隆粕谷 和彦齊藤 準高橋 総司林田 康治絵野沢 伸青木 達哉
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2008 年 33 巻 4 号 p. 574-578

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抄録

 平成13年に設立されたヒューマンサイエンス研究資源バンクヒト組織バンクは,わが国唯一の公共的な研究用ヒト組織の収集・譲渡機関である。われわれは,この事業に協力するため,バンク提供に関するインフォームド・コンセントの取得と,手術摘出検体が手術室から組織バンクへ円滑に流れるための提供システムの構築を行った。とくにインフォームド・コンセントを(1)導入,(2)説明,(3)仮同意,(4)本同意の4段階で得るように設定し,検体の提供が患者の心理的負担とならないように留意した。ここで最も特徴的なことは,「仮同意」という新しい概念を導入したことである。本システムに従って,平成16年8月から平成18年3月までに13人の患者の肝組織を組織バンクへ提供した。今後,医学研究の発展のため公共的組織バンクが社会的に認知され,他施設においても組織提供が広く行われることが望まれる。

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© 2008 日本外科系連合学会
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