日本外科系連合学会誌
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症例報告
S状結腸癌が先進部となり肛門外脱出をきたした腸重積の1例
小林 慎二郎矢川 陽介櫻井 丈中野 浩大坪 毅人
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キーワード: 腸重積, 肛門外脱出, 結腸癌
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2008 年 33 巻 5 号 p. 772-776

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抄録
 成人の腸重積症は悪性腫瘍が先進部になることが多いが,今回われわれはS状結腸癌が肛門外まで脱出した腸重積の1例を経験した。症例は72歳の女性,下血と肛門からの腫瘤脱出を主訴に来院した。肛門から結節集族様の腫瘤が脱出していた。肛門内へ腫瘤を用手的に還納後にCT検査を施行したところ,S状結腸の陥入像と,直腸内にtarget signが認められたので,S状結腸腫瘍を先進部とした腸重積と診断した。内視鏡観察下にガストログラフィンを用いて重積を整復後,内視鏡的に腫瘍切除を試みたが不可能であったので手術を施行した。先進部の腫瘤は46×35mm大で,病理組織所見はwell differentiated adenocarcinoma(深達度m)であった。S状結腸癌が肛門外まで脱出した腸重積症の報告は比較的稀である。本邦報告例を集計し,文献的考察を加えて報告する。
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© 2008 日本外科系連合学会
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