症例は70歳の女性。4カ月前に下腹部腫瘤を自覚し,近医を受診した。CT検査施行したところ下腹部正中腹壁に腫瘍を認めたため当院を紹介受診した。腹部造影CT検査と腹部MRI検査で膀胱前面の腹壁に脂肪成分を含んだ腫瘤を認めた。悪性腫瘍も否定できなかったため,腫瘍摘出術を施行した。病理所見で筋脂肪腫と診断した。術後経過は良好で術後第11病日に退院した。筋脂肪腫は再発や転移,腫瘍関連死亡例の報告はなく予後良好な腫瘍である。しかし術前の確定診断が困難なことが多く,脂肪成分を含む腫瘍を認めた場合,鑑別のひとつとして念頭に置く必要があると考えられた。