日本外科系連合学会誌
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症例報告
上行結腸に多発転移をきたした悪性腹膜中皮腫の1例
山下 信吾江口 礼紀吉利 賢治小林 秀規吉川 達也高橋 学
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2008 年 33 巻 5 号 p. 809-814

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抄録

 症例は,64歳,女性。平成16年9月頃より微熱が継続した。近医の超音波検査にて膵臓腫瘍を指摘され,平成16年11月当院受診となった。血液生化学検査では炎症反応の上昇以外,内分泌ホルモン,腫瘍マーカーを含め異常を認めなかった。腹部CT検査,腹部MRI検査では,膵体尾部に径4cm大の乏血性の充実性腫瘤を認めた。胸腹水は認めなかった。血管造影検査では脾静脈に圧迫像を認めた。確定診断はつかなかったが,膵腫瘍を強く疑い平成16年11月手術を施行した。開腹時膵体部上縁に径4cm大の結節性病変を認め,これを摘出した。迅速病理診断は腺癌リンパ節転移であった。腹腔内検索にて,上行結腸に多発する腫瘍性病変と腸間膜リンパ節腫大を認めたため上行結腸癌リンパ節転移と診断し右半結腸切除術施行した。診断は悪性中皮腫のリンパ節,大腸多発転移であった。リンパ節転移を契機に発見された悪性腹膜中皮腫の1例を経験したので報告する。

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© 2008 日本外科系連合学会
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