2008 年 33 巻 6 号 p. 842-845
鈍的外傷による小腸・腸間膜損傷5例について検討した。受傷機転は交通事故4例,転落1例で,損傷部位は小腸単独1例,腸間膜単独2例,小腸・腸間膜損傷2例で,小腸損傷部位は空腸2例,回腸1例,腸間膜の損傷部位は空腸・回腸間膜各2例であった。全例とも来院から入院までの間にCT検査を施行し,初期治療は手術1例,塞栓術1例,保存的治療3例で,最終的に全例に手術を施行した。手術適応の根拠は腹膜刺激症状,血圧低下,CT所見であった。手術までの期間は平均1.2日,出血量は平均1,246gで,輸血は3例に施行した。予後は全例生存しており,入院期間は平均26.2日であった。本症の診断にはCT検査が有用である。本症で保存的治療やIVRを選択した場合には,症状や検査所見に応じて期を逸することなく外科的治療を行うことが肝要である。