日本外科系連合学会誌
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症例報告
ENBD屈曲により腹腔鏡下胆嚢摘出術後胆汁漏をきたした総胆管結石症の1例
大山 正人守本 芳典池田 博斉河本 和幸
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キーワード: 胆汁漏, ENBD, 胆石症
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2009 年 34 巻 4 号 p. 626-630

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抄録

 腹腔鏡下胆嚢摘出術は広く行われているが,術後合併症のひとつに胆汁漏があり,重篤例では再手術を要することがある.今回われわれはENBD留置にもかかわらず術後胆汁漏をきたした傍乳頭憩室を伴う総胆管結石症を経験したので報告する.症例は72歳,男性.総胆管結石にて前医を受診し,endoscopic retrograde cholangiopancreatography(ERCP)を施行するも傍乳頭憩室のためにendoscopic sphincterotomy(EST),採石ともに困難でendoscopic retrograde biliary drainage(ERBD)を留置した状態で当院紹介となった.入院後EST施行し16×7mm大の結石を除去し5FrのENBDを留置した.その後腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行したが,術後1日目の夕方よりドレーンから大量の胆汁流出を認めENBD造影にて胆嚢管切離断端から造影剤の流出が確認された.ENBDチューブは傍乳頭憩室のために鋭角に屈曲し閉塞していたため5Frから6FrのENBDに交換したところ胆汁漏は消失した.胆汁漏の原因のひとつとして,傍乳頭憩室のためにENBDのドレナージ効果が不十分であったことが判明し,このような症例ではチューブ管理を厳重に行うことが必要と考えられる.

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© 2009 日本外科系連合学会
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