日本外科系連合学会誌
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症例報告
残胃全摘術後早期に発症した輸入脚閉塞症の1例
松井 康司種村 廣巳大下 裕夫山田 誠足立 尊仁
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2010 年 35 巻 1 号 p. 30-33

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抄録
 症例は72歳の男性.平成8年に胃癌にて幽門側胃切除術が行われ,BillrothI法で再建されている.平成19年12月に残胃癌のため残胃全摘術,Roux-en Y再建術が施行された.術後第9病日より腹痛と発熱が出現し,第10病日に腹部CT検査を施行した.十二指腸下行脚から水平脚の著明な拡張を認め輸入脚閉塞症と診断し緊急手術を行った.開腹すると癒着が高度で全貌を観察することは困難であったが,Y脚吻合部には異常はなく口側輸入脚が著明に拡張しており,横行結腸より連なる脂肪組織の癒着により閉塞をきたしたものと考えた.脂肪組織の部分切除と可及的な癒着剥離を行った.術後は症状・所見とも徐々に改善し第42病日に軽快退院した.残胃全摘術後早期に輸入脚閉塞症をきたした症例を経験した.稀な術後合併症ではあるが早期診断早期治療が必要な病態として報告した.
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© 2010 日本外科系連合学会
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