抄録
症例は64歳,女性.左乳頭から単孔性の血性乳頭分泌を認めたが,腫瘤は触知しなかった.マンモグラフィ,超音波検査に所見はなく,乳管造影で左B領域方向の乳管拡張と末梢側の狭窄を認めた.血性分泌液の細胞診は良性の判定であったが,乳管内乳頭腫または非浸潤性乳管癌(DCIS)を疑いduct lobular segmentectomyを施行した.病理組織学的所見は,HE染色はsolid-papillary type DCISと診断した.またHE染色で顆粒状の細胞質を伴う癌細胞を認めたためneuroendocrine ductal carcinoma in situ(NE-DCIS)を疑い,免疫組織染色を行った.chromogranin A,synaptophysinがともに陽性を示したためNE-DCISと診断した.ER,PgRはともに陽性であった.本症例のように血性乳頭分泌を主訴とする高齢者では,画像上腫瘤が認められない場合でもNE-DCISの可能性を考慮すべきである.