抄録
症例は77歳の男性で,右下腹部痛を主訴に来院し,腹部理学所見,血液学的所見,腹部CTにて急性虫垂炎と診断し,虫垂切除を施行した.開腹所見は,壊疽性虫垂炎であったが,腫瘤は指摘できなかった.術後の病理組織検査結果によって虫垂杯細胞カルチノイドと診断された.術後24日目に,D3郭清を伴う回盲部切除を施行した.術後の病理組織では回盲部切除の虫垂断端に腫瘍の遺残を認めたが,リンパ節転移はなかった.現在,術後1年5カ月経つが再発所見は認めていない.今回われわれは急性虫垂炎を契機に診断された虫垂杯細胞カルチノイドの1例を経験し,急性虫垂炎の病理組織学的検討の重要性を認識したので,報告する.