2012 年 37 巻 4 号 p. 838-842
症例は45歳の男性で,右季肋部痛を主訴に前医を受診.腹部超音波,CTにて胆石および胆囊壁の肥厚を認め,drip infusion cholangiography(以下,DIC)では胆囊は描出されなかった.胆石,胆囊炎の診断にて前医で腹腔鏡下胆囊摘出術を施行.切除標本にて胆囊管に腫瘍性病変を認め,病理組織学的検査にて漿膜下まで浸潤する中分化型腺癌であったため,追加切除目的に当院入院.当院にて肝外胆管切除,リンパ節郭清を施行.切除標本には悪性所見は認めず,Farrarの診断基準を満たす胆囊管癌と診断した.術後経過は良好で,術後15カ月の現在,無再発生存中である.Farrarの診断基準を満たす胆囊管癌は稀な疾患であり,若干の文献的考察を加え報告する.