日本外科系連合学会誌
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症例報告
虫垂癌の手術創部に発生した腹壁デスモイド腫瘍の1例
澤口 悠子船橋 公彦小池 淳一塩川 洋之栗原 聰元牛込 充則島田 英昭金子 弘真
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2012 年 37 巻 5 号 p. 1050-1055

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抄録
症例は,71歳の女性.手術切開創瘢痕創にうずら卵大の腫瘤を触知して来院した.既往歴として1年前に虫垂の進行癌(pT4N0M0)に対する手術歴があった.血清CA19-9値とCEA値はそれぞれ7.2 u/ml,1.5 ng/mlで,18F-FDG/PET検査でもMaximum standardized uptake valueは1.9であったが,虫垂癌の孤立性腹壁転移が疑われた.手術所見では,腫瘤は腹直筋内から発生した22×17×12mmの充実性腫瘍で,組織学的に腹壁デスモイドと診断した.今回,虫垂癌の術後に手術創部に発生した稀な腹壁デスモイド腫瘍の1例を経験した.良性腫瘍である腹壁デスモイド腫瘍と虫垂癌の腹壁転移は,ともに稀な疾患であり,両者の鑑別は治療法決定のうえでも重要であると考えられた.
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© 2012 日本外科系連合学会
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