日本外科系連合学会誌
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症例報告
腹腔鏡下に摘出しえた陶器様胆囊の1例
鈴木 隆長谷部 行健横井 正秀種村 宏之中崎 晴弘
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2012 年 37 巻 6 号 p. 1153-1157

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抄録

症例は61歳男性.健診にて胆囊壁の石灰化を指摘され,当院受診となった.腹部超音波検査および腹部CT検査で,胆囊の全周にわたる石灰化と頸部に結石を認めた.陶器様胆囊(以下PGB)および胆石症の診断にて手術の方針となり,腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した.手術は壁の石灰化により鉗子による把持が困難であったため,胆囊底部に小孔を開け,胆囊の把持・挙上を行った.炎症による線維化が高度であったが,Calot三角の剝離および胆囊管,動脈の露出およびclippingは安全に行えた.病理組織学的検査では,胆囊壁全体が硝子様線維化していた.腫瘍性変化は認めなかった.PGBは比較的稀な疾患であり,従来は胆囊癌の合併を考慮する疾患であった.しかし,部分型の癌合併率が7%なのに対して本症例のような全体型においては0%という報告もあり1),石灰化の性状によっては,今回のように腹腔鏡下手術の選択も可能と考えられた.

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© 2012 日本外科系連合学会
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