2013 年 38 巻 1 号 p. 111-116
症例は73歳男性.2009年8月右結腸切除術D3施行.病理所見ではA,Circ.,tub2,pType2,pSE,ly0,v2,pN2(計16/45個),sH0,sP0,cy0,cM0.EGFR(+),K-ras変異なし.補助化学療法としてmFOLFOX6を計8回施行.2010年5月CT,6月USにて肝S5転移が出現.本人希望もあり同年7月消化器内科に依頼しRFA施行.2011年5月CTで肝転移再燃確認(径6cm大),CEAも上昇.同年6月よりmFOLFIRI+パニツムマブ開始.4回終了時のCTでPRとなり,8回終了時のCTでさらに縮小しCEAも3.4と正常化した.2011年11月肝S5亜区域切除術を施行.切除断端は肝右葉前区域枝に近接していた.術後経過は順調で,退院後同レジメンを6回追加投与し現在まで外来通院中である.
K-ras変異のない再発大腸癌に対しパニツムマブを含む療法は有効と思われ,特に肝転移については投与後の肝切除率を向上させる可能性が示唆された.