日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
症例報告
先天性胆道拡張症分流手術後の肝内結石症に対する肝切除の経験
斉藤 良太島田 淳一北村 博顕田辺 義明遠山 洋一柳澤 暁小林 進矢永 勝彦
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 38 巻 1 号 p. 152-158

詳細
抄録

先天性胆道拡張症に対する分流手術後に併発した肝内結石に対する肝切除3例を経験した.症例1は62歳男性で,分流手術後2年で肝内結石を併発し,除石術を施行した.16年後に左葉型の肝内結石を再発し,肝左葉切除を施行した.症例2は32歳女性で,胆道拡張症に対する内廔術後20年で肝内結石を併発し,分流手術を施行した.9年後に左葉型の肝内結石を再発し,肝外側区域切除を施行した.症例3は56歳男性で,分流手術後10年で肝内結石を併発し,除石術を施行した.12年後に両葉型の肝内結石の再発および肝内胆管癌併発にて,拡大肝右葉切除を施行した.3症例ともに肝内胆管拡張を伴う充満結石を認め,肝切除の適応であった.先天性胆道拡張症に対する分流手術後に発生する肝内結石は再発を繰り返し,また胆道癌発生の要因となるため慎重な経過観察が必要である.分流手術後に再発する肝内結石では,肝切除による結石除去が有効である.

著者関連情報
© 2013 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top