日本外科系連合学会誌
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原著
StageⅡ結腸癌における再発リスク因子の検討:欧米ガイドラインの検証
幡野 哲隈元 謙介石橋 敬一郎天野 邦彦松澤 岳晃熊谷 洋一馬場 裕之芳賀 紀裕石田 秀行
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2013 年 38 巻 4 号 p. 738-745

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抄録

欧米のガイドラインで提唱されているStageⅡ結腸癌の再発高リスク因子の有用性を明らかにするために,1997年4月~2008年12月に治癒切除が行われたStageⅡ結腸癌223例を対象に,ASCO,NCCN,ESMOの各ガイドラインに明示されている再発リスク因子と再発との関係を検討した.ASCO,NCCN,ESMOの各ガイドラインの再発高リスク因子を1つでも満たす症例は各々124例(55.6%),199例(89.2%),207例(92.8%)であった.Cox比例ハザードモデルによる多変量解析では,穿孔,pT4(p<0.01),閉塞(p=0.01)が無再発生存期間に影響を与える独立リスク因子であった.これらの3因子のいずれかを有する78例(34.9%)と3因子のいずれも有しない145例(65.1%)の5年無再発生存率は各々69.4%,95.2%であった(p<0.01).本邦の実地臨床においては,重要視する因子が明示されていない欧米のガイドラインをそのまま受け入れることは問題があり,今回の検討のようにリスク因子の絞り込みが重要と考えられた.

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© 2013 日本外科系連合学会
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