日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
38 巻 , 4 号
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原著
  • Koichiro Sato, Masaaki Yamaguchi, Takanori Ishida
    2013 年 38 巻 4 号 p. 721-725
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    Triple negative (TN) and younger cases in breast cancer have poorer clinical outcome data. We evaluated the relationship between outcome of triple negative and younger cases and the proliferation potency of breast cancer cells. 94 cases of operated breast cancer were classified by subtype according to 2011 St. Gallen consensus meeting. Each subtype group and younger patients (=or<45) were investigated Ki-67 proliferation index indicated proliferation potency of cancer, nuclear grade (NG) and histological grade(HG). Out of 94 cases 48 were classified as Luminal A, 30 as Luminal B, 8 as HER2 and 8 as TN. The average proliferation index of Ki-67 was 6.4±3.7 in Luminal A, 24.6±11.2 in Luminal B, 20.2±6.6 in HER2, and 62.6±15.7 in TN. There was a significant higher proliferation index of Ki-67 in the TN group. There were significantly higher NG and HG in the TN group compare with Luminal A and B. Mean Ki-67 proliferation index, NG and HG in cases which were 45 years old and less was significantly higher than those in cases which were more than 46 years old. The poor prognosis in the TN group and younger patients is supposedly caused by the proliferation potency, NG and HG in breast cancer.
  • 山岡 雄祐, 藤谷 和正, 平尾 素宏, 山本 和義, 浅岡 忠史, 宮本 敦史, 池永 雅一, 池田 正孝, 中森 正二, 関本 貢嗣
    2013 年 38 巻 4 号 p. 726-731
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    【目的】Body mass index(BMI)が18.5kg/m2未満である低体重を示す症例は死亡率リスクが高く予後不良である.胃全摘術後の低体重を予防するために積極的な栄養介入を必要とする症例を特定することを目的とした.【対象と方法】初発胃癌に対して根治的な胃全摘術を施行し術後1年間再発を認めなかった110例を対象とし,術後1年目に低体重をきたすことと臨床病理学的因子との関連について検討した.【結果】110例中39例が術後1年目に低体重となった.単変量解析では,術前BMIが22kg/m2未満であること,女性,StageⅡB以上であること,術後補助化学療法を施行することが術後低体重と有意な相関を示した.多変量解析では術前BMIが22kg/m2未満であること,女性,術後補助化学療法を施行することが術後低体重と有意な相関を示した.【結語】術前BMIが22kg/m2未満の症例,女性,術後補助化学療法を施行する症例には術後早期から積極的な栄養介入が必要と思われた.
  • 石野 信一郎, 砂川 宏樹, 卸川 智文, 間山 泰晃, 嘉数 修, 兼城 達也, 稲嶺 進, 當山 鉄男, 座波 久光, 大城 直人
    2013 年 38 巻 4 号 p. 732-737
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    目的:虫垂粘液囊腫は虫垂炎との鑑別が難しく,術後に診断されることが多い.当院において虫垂炎の診断で虫垂切除を施行され,術後に虫垂粘液囊腫と診断された症例と,虫垂炎症例との臨床的相違点を検討した.方法:2002年1月から2011年5月に当院で虫垂炎の診断で虫垂切除術をされた937例を対象とし,虫垂粘液囊腫と診断された10例と虫垂炎とされた927例の2群間で,臨床項目を比較検討した.結果:年齢は虫垂粘液囊腫群で有意に高かったが,性別,体温,腹膜刺激症状を認めた割合に差はなかった.また囊腫群の術前の白血球数は虫垂炎群と比べ有意に低く,CRP値は有意に高かった.画像検査での最大虫垂径および膿瘍形成の割合は共に虫垂粘液囊腫群で有意に大きかった.結論:今回の検討において,虫垂炎と虫垂粘液囊腫の両群間で有意差があった臨床項目は両疾患の鑑別に有用である.顕著な虫垂腫大や膿瘍形成を伴う症例では,虫垂粘液囊腫を考慮するべきである.
  • 幡野 哲, 隈元 謙介, 石橋 敬一郎, 天野 邦彦, 松澤 岳晃, 熊谷 洋一, 馬場 裕之, 芳賀 紀裕, 石田 秀行
    2013 年 38 巻 4 号 p. 738-745
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    欧米のガイドラインで提唱されているStageⅡ結腸癌の再発高リスク因子の有用性を明らかにするために,1997年4月~2008年12月に治癒切除が行われたStageⅡ結腸癌223例を対象に,ASCO,NCCN,ESMOの各ガイドラインに明示されている再発リスク因子と再発との関係を検討した.ASCO,NCCN,ESMOの各ガイドラインの再発高リスク因子を1つでも満たす症例は各々124例(55.6%),199例(89.2%),207例(92.8%)であった.Cox比例ハザードモデルによる多変量解析では,穿孔,pT4(p<0.01),閉塞(p=0.01)が無再発生存期間に影響を与える独立リスク因子であった.これらの3因子のいずれかを有する78例(34.9%)と3因子のいずれも有しない145例(65.1%)の5年無再発生存率は各々69.4%,95.2%であった(p<0.01).本邦の実地臨床においては,重要視する因子が明示されていない欧米のガイドラインをそのまま受け入れることは問題があり,今回の検討のようにリスク因子の絞り込みが重要と考えられた.
  • 佐々木 義之, 長田 真二, 今井 寿, 田中 善宏, 野中 健一, 高橋 孝夫, 山口 和也, 吉田 和弘
    2013 年 38 巻 4 号 p. 746-752
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    目的:1日当たりの腫瘍縮小速度から,手術を前提とした化学療法を施行した大腸癌肝転移に対する至適手術時期を探った.方法:化学療法を施行した大腸癌肝転移50例を対象に,1日当たりの腫瘍縮小速度(%/day)を算出し検討.結果:腫瘍縮小速度は化学療法開始時が最高で100日を超えるとプラトーに達する.肝切除術を,腫瘍縮小効果が持続している段階で行うと,効果低下時に行うのに比べ長期の無再発生存を示した.また,化学療法開始より12週目の腫瘍縮小速度が0.35%/day以上であった症例で有意に(p=0.003%)無再発生存率が良好であった.結語:大腸癌肝転移に対し術前化学療法を施行する症例で,腫瘍縮小が維持される開始後16週を目途に肝切除を行うことが推奨され,特に12週目の腫瘍縮小速度が肝切除後の再発リスクの指標となる可能性がある.
  • 梅邑 晃, 須藤 隆之, 御供 真吾, 藤田 倫寛, 新田 浩幸, 馬場 誠朗, 佐々木 章, 若林 剛
    2013 年 38 巻 4 号 p. 753-758
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    当科の膵頭十二指腸切除術(PD)時のno stent法による膵管空腸粘膜吻合の臨床成績について報告する.2001年1月から2011年8月までにPDを施行した28例の背景因子と臨床成績を検討し,hard pancreas群(H群17例)とsoft pancreas群(S群11例)に分け,比較検討した.内訳は,男女比18:10,平均年齢70歳,原疾患は膵癌16例,胆管癌8例の順であった.平均手術時間333分,平均出血量1,382g,術後経口摂取再開日7POD,drain抜去日6POD,術後在院日数32日であった.International Study Group on Pancreatic FistulaによるGrade B以上の膵瘻を3例に認めた.H群とS群の比較では,1PODおよび3PODのdrain AMY値,drain抜去日で有意差を認めた.膵臓の状態に関わらずno stent法の臨床成績はほぼ一定であったが,soft pancreasや膵管非拡張例では,膵空腸貫通密着吻合やstent留置は膵瘻予防には必要であると考えられた.
  • 宮谷 知彦, 栗田 信浩, 小松 正人, 佐藤 宏彦, 吉川 幸造, 東島 潤, 高須 千絵, 柏原 秀也, 島田 光生
    2013 年 38 巻 4 号 p. 759-764
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    【目的】Antiphospholipid antibody syndrome(APS)は,比較的稀な疾患であるが,血栓症発症の危険性があり,周術期に注意を要する.今回,当院でのAPSの臨床的特徴について検討した.【対象・方法】2000年4月~2008年4月における当院でのAPS症例を対象とした.APS全症例と手術症例それぞれの臨床的特徴と術後合併症および周術期管理について検討した.【結果】当院における8年間でのAPS症例は56例であり,全科でのAPS合併手術症例は18例であった.男性:5例,女性:13例で平均年齢はそれぞれ60歳,59歳で,APTTは51.1秒,44.3秒,抗カルジオリピン抗体は15.0 IU/mL,11.5 IU/mL,ループスアンチコアグラントはそれぞれ1.40 U/mL,1.49 U/mLであった.周術期に抗凝固療法を行った症例は10例で抗凝固療法を行ったにも関わらず血栓症を発症した症例を1例認めた.【結語】APSは周術期には慎重な抗凝固療法が必要であるが,抗凝固を行っても血栓症を発症する症例があり,注意を要する.
臨床経験
  • 渡辺 誠, 村上 雅彦, 大中 徹, 松井 伸朗, 青木 武士, 加藤 貴史
    2013 年 38 巻 4 号 p. 765-770
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    【目的】ストーマ造設術後早期合併症に対してモルダブル皮膚保護剤付ストーマ装具(バリケア®ナチュラMフランジ)が有用であるか明らかにする.【対象と方法】対象はストーマ造設症例64例である.前期32症例はポスパック・K®(P群)を使用,後期32症例はバリケア®ナチュラMフランジ(M群)を使用した.2群間の患者背景,ストーマ関連早期合併症を含む術後アウトカムを比較検討した.【結果】患者背景に有意差は認めなかった.初回交換時のストーマ浮腫はM群が有意に少なかった(71.9% vs 93.8%:p=0.020).また,初回交換時の装具面板下への便漏れも有意にM群が少なかった(25.0% vs 50.0%:p=0.0375).入院期間中の皮膚障害発症率ならびに,退院時の皮膚障害スコアは有意にM群が少なかった(43.7% vs 68.7%:p=0.019,0 vs 2:p=0.033).【結語】モルダブル皮膚保護剤付ストーマ装具はストーマ造設術後早期合併症,特にストーマ周囲皮膚障害に対して有用であると考えられた.
  • 船橋 公彦, 塩川 洋之, 寺本 龍生, 小池 淳一, 栗原 聰元, 牛込 充則, 白坂 健太郎, 松田 聡, 鏡 哲, 金子 弘真
    2013 年 38 巻 4 号 p. 771-775
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    内肛門括約筋切除術(ISR)75例の術後に発生した全周瘢痕性吻合部狭窄(狭窄)5例に対する皮膚弁移動術(SSG)の手術成績を検討した.対象は,男女比4:1で,中央値年齢は63(58~75)歳.1例に既往歴として術前化学放射線療法(pre-CRT)があり,4例がpartial,1例がsubtotal-ISRであった.SSGの手術時間および出血量の中央値は,79.5(25~136)分,10(0~143)ml.pre-CRTの1例でV-Y flap法による追加手術を要したが,合併症もなく,全例で改善を得た.肛門機能(n=4)は,ストーマ閉鎖後観察期間(中央値)816(535~1,910)日でKirwan grading sore Grade 2以上の障害を認めた.狭窄に対するSSGは安全で有効であったが,SSG術後の肛門機能はISRによる潜在的な機能障害と相まって肛門機能に大きく影響するものと考えられた.
  • 東原 琢, 清水 善明, 横山 航也, 石井 隆之, 小川 清, 宮崎 勝
    2013 年 38 巻 4 号 p. 776-780
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    目的:腹腔鏡下胆囊摘出術において,総胆管結石の術中診断,術中胆管損傷の回避や発見に術中胆道造影は有用とされている.今回われわれは,症例を手術難易度別に分類し,術中胆道造影の意義について検討した.
    対象および方法:当院で2008年4月から2011年3月に施行された腹腔鏡下胆囊摘出術239例を術前の胆囊炎の程度,術前の胆囊管の走行,結石嵌頓の有無によって手術低難易度群と高難易度群に分類した.
    さらに,術中胆道造影施行群と非施行群に分け,手術時間,開腹移行率,術後胆道合併症発生率を比較検討した.結果:手術低難易度群では,術中胆道造影施行群と非施行群で開腹移行率および術後胆道合併症発生率に有意差はなかったが,手術時間は非施行群の方が有意に短かった.
    結語:術前に手術手技が容易で,術後胆道合併症の発生リスクも低いと予想される症例では,術中胆道造影の省略は可能と考えられた.
症例報告
  • 高橋 保正, 関川 浩司, 後藤 学, 成田 和広, 太田 竜, 池田 博斉, 小根山 正貴, 平田 雄大, 中山 幹大, 下田 陽太
    2013 年 38 巻 4 号 p. 781-784
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    近年,癌性疼痛に対する新たな治療戦略としてフェンタニルパッチの有効性が認められている.今回,私たちは経口オピオイド製剤による疼痛コントロールが困難であったNSAIDS禁忌の乳癌骨転移症例に対し,フェンタニルパッチへのオピオイドローテーションが有効であった一例を経験したので報告する.症例は60歳代女性.2008年乳癌術後多発骨転移による疼痛コントロール目的に入院となった.出血性胃潰瘍の既往があったためNSAIDSは禁忌と判断,オキシコドン製剤経口による疼痛コントロールを開始,100mg/dayまで増量した.疼痛コントロール不良であり副作用としての嘔気,傾眠がみられたためフェンタニルパッチへオピオイドローテーションを施行した.以後,フェンタニルMTパッチ12.6mg/3daysにより疼痛コントロール良好となり,日常生活の活動性も向上した.本療法開始後5週間で癌性悪液質にて亡くなられたが,最期まで高いQOLが維持できた.
  • 安座間 隆, 平尾 隆文, 松田 泰樹, 小林 哲郎
    2013 年 38 巻 4 号 p. 785-789
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    乳腺原発扁平上皮癌は稀な癌である.われわれは急速に進行増大した乳腺扁平上皮癌の1例を経験したので報告する.症例は56歳,女性.右乳房腫瘤と乳房痛を主訴として来院した.右乳房に6cm大の腫瘤を触知し,切開生検にて乳腺原発扁平上皮癌と診断され,乳房切除術が施行された.病理組織学的所見はER陰性,PgR陰性およびHER2陰性であった.Epidermal growth factor receptor(EGFR)は陽性であった.術後早期に胸壁再発がみられたため,胸壁への放射線照射および,全身化学療法としてcapecitabine/cisplatin療法とdocetaxel療法を施行したがいずれも奏効せず,腫瘍は胸壁の広範囲に浸潤増大し,術後9カ月目に永眠された.
  • 岩崎 謙一, 尾形 高士, 白井 順也, 藤川 寛人, 長 晴彦, 吉川 貴己, 円谷 彰, 中山 治彦, 粕谷 和彦, 勝又 健次, 土田 ...
    2013 年 38 巻 4 号 p. 790-794
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は60歳代の男性で,つかえ感を主訴に受診した.食道癌 Mt type2 T3N1M0 Stage Ⅲの診断で術前化学療法後,右開胸開腹食道亜全摘胸骨後胃管再建,3領域郭清を施行した.術中胸管を合併切除し,その際,胸管を3重にクリッピングした.第6病日に胸腔ドレーンを抜去,同日経口摂取開始となったがその後,画像上右胸水貯留を認め第9病日に胸腔ドレナージを施行.胸水中のトリグリセライドが191mg/dlと高値であり術後乳び胸と診断.中心静脈栄養管理,オクトレオチド皮下注射による加療を行うも1日約850~1,500mlの排液が認められ,保存的治療での改善は困難と判断し,17病日に手術を施行.開胸後,胸腔内を観察したが肉眼的に乳び漏出部位の同定は困難であった.そこでのハイビジョン胸腔鏡を用いて検索したところ,初回手術時に胸管を3重にクリップしたクリップの肛門側に漏出部位を確認できた.同部位を再度クリップし手術終了.第16病日に退院となった.今回,開胸操作時においてもハイビジョン胸腔鏡が乳び胸手術に対し非常に有用であった1例を経験したので報告する.
  • 山村 喜之, 武藤 潤, 黒田 晶, 鯉沼 潤吉, 吉岡 達也, 野路 武寛, 村川 力彦, 大竹 節之, 大野 耕一, 菊地 慶介
    2013 年 38 巻 4 号 p. 795-800
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は74歳男性.腹痛を主訴に当院消化器内科受診.急性膵炎の診断にて加療し,膵炎改善後に上部消化管内視鏡検査を施行したところ,病変①胃体上部に3型腫瘍,病変②胃体中部後壁0-Ⅱa+Ⅱc型腫瘍,病変③胃体中部前壁に0-Ⅱa+Ⅱc型腫瘍,病変④0-Ⅱc型腫瘍を認め,生検の結果はいずれもadenocarcinomaの診断であった.手術目的のため当科紹介され,胃全摘術を施行した.病理組織診断の結果,病変①はリンパ球浸潤癌,病変②は胎児消化管上皮類似癌由来のAFP産生胃癌,病変③と病変④は通常型腺癌であった.Epstein-Barr Virus(EBV)感染との関連を検討するためEBER-1のin situ hybridizationを施行したところ病変①はEBV感染が確認された.また5個リンパ節転移を認め,すべてAFP陽性で病変②からの転移と考えられた.
    今回われわれは稀な組織型であるリンパ球浸潤癌,胎児消化管上皮類似癌由来のAFP産生胃癌と通常腺癌を重複した胃癌を経験したので報告する.
  • 島崎 朝子, 勝部 隆男, 今野 宗一, 臼田 敦子, 村山 実, 山口 健太郎, 吉松 和彦, 塩澤 俊一, 島川 武, 成高 義彦
    2013 年 38 巻 4 号 p. 801-805
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的切除の適応拡大病変である胃粘膜内癌に,リンパ節転移を認めた1例を経験したので報告する.
    症例は71歳,女性,検診で胃癌を指摘された.上部消化管内視鏡検査で,胃前庭部小彎に約15mm大の発赤調の不整な陥凹性病変を認め,生検診断はGroup5,adenocarcinomaであった.腹部CT検査で幽門近傍に15mm大,総肝動脈周囲に30mm大の造影効果を伴うリンパ節腫大を認め,転移と診断した.D2郭清を伴う幽門側胃切除を施行したところ,病理組織学的にはL,Less,Type 0-Ⅱc+Ⅱb,15×25mm,tub1>tub2,pT1a,int,INFb,ly0,v0,pN1,pPM0,pDM,N1,H0,P0,M0,StageⅠBであった.
    No.5,No.8aリンパ節はいずれも胃癌の転移であった.内視鏡切除可能な胃粘膜内癌の治療に対しても,リンパ節転移の検索などの基本的な治療方針を決定する過程が重要と考えられる.
  • Takahiro Umemoto, Yoshikuni Harada, Makiko Sakata, Kazuaki Yokomizo, G ...
    2013 年 38 巻 4 号 p. 806-808
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    A 61-year-old woman presented to the emergency department with midepigastric pain for the last 24 hours. Pancreatitis was initially suspected based on the patientʼs history, physical examination results, and elevated serum amylase levels. However, computed tomography (CT) revealed the presence of a linear foreign body (FB) in the duodenum and air bubbles outside the intestinal lumen. Penetration into the medial aspect of the third portion of the duodenal wall was observed, but the FB could not be successfully removed. Hence, endoscopic removal of the fish bone was performed with gentle traction on the first postoperative day. The patient was completely relieved of the pain after the surgery and endoscopic removal of the fish bone. The strategic location of the penetration in the visceral wall was responsible for the gastrointestinal (GI) tract injury pattern. The patient was unaware of the FB ingestion. However CT and the retrospective alimentary question revealed the consumption of fish.
  • 中澤 俊之, 永野 秀樹, 木村 洋平, 小練 研司, 村上 真, 廣野 靖夫, 五井 孝憲, 飯田 敦, 片山 寛次, 山口 明夫
    2013 年 38 巻 4 号 p. 809-814
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    83歳男性.50歳時に胃潰瘍にて幽門側胃切除術,Billroth Ⅰ法再建を施行されている.2008年1月上腹部痛が出現し近医を受診した.上部消化管内視鏡検査で残胃内の胃石および吻合部潰瘍を認め入院した.入院後に胆汁様嘔吐を認めたため腹部CT検査を施行すると,胃十二指腸の拡張とTreitz靭帯近傍の空腸内に40mm大の淡い腫瘤像を認めた.当科へ紹介され胃石の落下によるイレウスと診断し緊急手術を施行した.術中空腸に楕円形の硬い腫瘤を触知し空腸に切開を加えて摘出すると70×40mm大の胃石であった.術後経過は良好で第18日目に退院した.残胃胃石が小腸内へ落下した場合は急激にイレウスを発症し緊急手術が必要になる場合があるため注意が必要である.
  • 新藤 芳太郎, 硲 彰一, 井上 由佳, 兼清 信介, 渡邊 裕策, 吉村 清, 吉野 茂文, 岡 正朗
    2013 年 38 巻 4 号 p. 815-819
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は80歳男性.身長は162cm,体重は41kg,痩せ型で腹壁の薄い体型であった.直腸癌に対して腹腔鏡補助下低位前方切除術を施行した(Rb,3型,A,N2,H0,P0,M0,Stage Ⅲb).右下腹部12mmポート挿入部の筋膜・腹膜は閉鎖し,同創よりポート挿入とは別経路で吻合部後面にシラスコンドレーン(径10mm)を挿入した.術後発熱が持続し,縫合不全も完全には否定できなかったためドレーン留置が遷延していた.炎症反応は徐々に軽快し,術後11日目に腹腔ドレーンを抜去した.抜去4時間後より激しい腹痛,嘔吐を訴えたため,腹部を観察したところドレーン抜去部より暗赤色調の小腸が脱出していた.腸管は壊死していたため,緊急手術を行い,壊死した小腸を部分切除した.術後経過は良好であり,初回手術後21日目に退院となった.今回,われわれはドレーン抜去部より小腸が脱出した稀な1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
  • 青木 順, 岡澤 裕, 高橋 里奈, 水越 幸輔, 杉本 起一, 小見山 博光, 小島 豊, 五藤 倫敏, 冨木 裕一, 坂本 一博
    2013 年 38 巻 4 号 p. 820-824
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は40歳代男性.幼少期より腹痛と嘔吐を繰り返していた.平成16年4月,慢性特発性偽性腸閉塞で手術を施行した.平成19年10月,腹痛と嘔吐が出現し来院した.腹部CTでwhirl signを認め,小腸軸捻転の診断で緊急手術を施行した.開腹所見では,時計回りに180度捻転した小腸を認め,壊死小腸を切除し前回造設した回腸瘻より口側に小腸瘻を造設した.術後経過は良好で第33病日に転院となった.
    Whirl signは,腸管の軸捻転で腸間膜などの軟部組織による渦巻き状の腫瘤影を呈する特徴的なCT画像所見である.whirl signがみられても小腸閉塞がないこともあり,whirl signの腸管軸捻転に対する特異性は高いとは言えない.しかしながら,whirl signを呈し小腸閉塞を伴う場合には高率に小腸壊死に陥っているため,手術適応を検討するに際して,有意な所見であると考えられた.
  • 北島 政幸, 中谷 晃典, 渡部 智雄, 落合 匠, 西村 和彦, 二川 俊二
    2013 年 38 巻 4 号 p. 825-829
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.直腸癌の手術既往あり.狭心症の診断で抗血小板薬を内服中に黒色便が出現.近医で精査するも異常所見を認めず,また黒色便も一時的であったため経過観察されていた.今回再度下血があり当院を受診,入院となった.CT検査にて右下腹部に内部にガス像を伴う5cm大の腫瘤,および右肺にも5cm大の腫瘤を認めた.画像所見上,肺腫瘤は原発性肺癌が疑われ気管支鏡下にて生検を施行,小細胞癌の診断を得た.経過より腹腔内腫瘤は直腸癌の局所再発の可能性を疑った.下血の継続および腸管の閉塞症状が出現したため腹部症状に対する治療を優先し手術を施行.術中所見では右下腹部に腫瘤を認め数箇所で小腸に浸潤しており小腸部分切除術を施行した.切除標本において小腸の腫瘤と肺癌の病理組織所見が一致したため肺小細胞癌の小腸転移と診断した.原発性肺癌の小腸転移は稀な疾患であるため,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 新庄 幸子, 竹村 雅至, 濱野 玄弥, 眞弓 勝志, 池邊 孝, 寺倉 政伸
    2013 年 38 巻 4 号 p. 830-835
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は28歳男性.5日前から右下腹部痛を認め当院を受診,同部位に圧痛と腹膜刺激徴候を認めた.腹部CT検査では,虫垂腫大や糞石などはなく,回腸末端を中心に腸管壁および腸間膜の肥厚と脂肪織濃度の上昇を認めた.血液検査で白血球は14,100/μl,CRPは9.18 mg/dlと上昇しており,虫垂根部の炎症か大腸憩室炎の穿孔による限局性の腹膜炎を疑い緊急手術を施行した.腹腔鏡下に観察すると,腹水はなく虫垂は正常で,回腸末端から盲腸にかけて炎症性変化を認めた.回盲部付近の肥厚した腸間膜の間隙より排膿を認め,回盲部切除を行った.病理組織学的には回盲弁から約2cm口側回腸の仮性憩室が腸間膜内に穿通し膿瘍を形成していた.術後経過は良好で術11日目に退院した.回腸末端憩室炎は稀な病態で,術前診断は困難とされる.今回,われわれの症例を含め本邦報告例を集計し報告する.
  • 浦部 和秀, 布袋 裕士, 長谷 諭, 田原 浩, 佐々木 なおみ, 前田 佳之
    2013 年 38 巻 4 号 p. 836-841
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は40歳,女性.子宮筋腫・卵巣囊腫の経過観察中,CA19-9の高値を指摘された.大腸内視鏡検査ではBauhin弁部に壁外からの圧迫像を認めた.腹部造影CTでは回結腸動脈を栄養動脈とした35×25mm大の造影効果の強い多血性の腫瘍を認めた.MRIではT1強調像で低信号,T2強調像で中間信号であった.回盲部の腫瘤について悪性腫瘍が否定できなかったため,外科的切除の方針とした.単孔式腹腔鏡下手術の予定で臍に小開腹をおいた所,開腹創より腫瘍の摘出が可能であった.病理組織学的には腫瘤はリンパ節であり,多数のリンパ濾胞が増生していた.リンパ濾胞は小型胚中心と肥厚したマントル層を有し,胚中心に細血管が侵入していた.単発型のCastleman病(hyaline-vascular type)と診断された.術後1年8カ月を経過して再発を認めない.本邦で報告された腹腔内発生症例との検討も追加し報告した.
  • 宮澤 美季, 宮木 陽, 西口 遼平, 河野 鉄平, 大谷 泰介, 高岡 和彦, 熊沢 健一, 松尾 亮太, 成高 義彦
    2013 年 38 巻 4 号 p. 842-845
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    日本住血吸虫症は中間宿主である宮入貝の撲滅により,1978年を最後に国内での新規発生はないとされているが,近年では国外感染による輸入症例が報告されている.今回,われわれは急性虫垂炎で切除した虫垂に日本住血吸虫卵を認めた1例を経験した.症例は71歳,男性.右下腹部痛を主訴に当科を受診し,腹部CT検査で急性虫垂炎穿孔,腹腔内膿瘍と診断し,同日,虫垂切除術を施行した.切除した虫垂は腫大し,壁は一部壊疽による穿孔を認めた.病理組織学的検査で,壊疽性虫垂炎と粘膜下に多数の陳旧性の日本住血吸虫卵を認めた.現在,国内での日本住血吸虫症の新規発生はなく,その報告は死卵による陳旧性像であり,虫垂に日本住血吸虫卵を認めた症例は,減少かつ高齢層へ移行している.しかし,国外感染による輸入症例の報告もあり,活動性感染が疑われる場合には駆虫を要することもある.虫垂切除標本からの日本住血吸虫卵の検出は本邦では比較的稀ではあるが,国外感染も考慮し,虫卵を検出した場合は活動性感染の有無を検索する必要がある.
  • 村上 弘城, 藤竹 信一
    2013 年 38 巻 4 号 p. 846-851
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    虫垂結石は比較的稀な病態であるが,虫垂炎を発症すると重症化しやすいことが報告されている.今回,われわれは急激な経過をたどり,腹腔鏡下手術にて診断がついた虫垂結石による穿孔性虫垂炎の症例を経験したため報告する.症例は43歳,女性.急な心窩部痛,右下腹部痛を自覚し当院救急外来を受診.わずかな炎症反応上昇はあるもののCTで虫垂腫大は指摘されず,当初は骨盤腹膜炎の疑いにて婦人科入院となった.その後,経時的に腹痛が増強し炎症反応も増悪するため当科紹介となった.CTにて盲腸周囲の炎症性変化が強く,虫垂炎の可能性が否定できないため診断および治療目的にて腹腔鏡下手術を施行した.腹腔鏡所見では混濁した腹水の貯留を認め,虫垂自体は明らかな腫大は認めなかったが虫垂根部に5mm大の穿孔と同部位の内腔に径5mm弱の尖った結石を認めた.虫垂切除,ドレーン留置を施行し,術後は合併症もなく第9病日に退院となった.
  • 末田 聖倫, 能浦 真吾, 大植 雅之, 真貝 竜史, 本告 正明, 岸 健太郎, 藤原 義之, 矢野 雅彦, 冨田 裕彦, 石川 治
    2013 年 38 巻 4 号 p. 852-857
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.右下腹部痛を主訴に前医を受診し,右下腹部腫瘤を指摘され,治療目的に当院に紹介受診となった.下部消化管内視鏡検査,腹部超音波検査,腹部造影CT検査およびPET検査を行い,術前に虫垂粘液囊腫と診断されたが,悪性を否定できなかったため,所属リンパ節郭清を伴う手術を腹腔鏡補助下にて安全に施行しえた.最終病理診断は大腸癌取扱い規約上の粘液囊胞腺腫とは断言できず,WHO分類のlow-grade appendiceal mucinous neoplasmに相当する所見と診断した.虫垂粘液囊腫は比較的稀な疾患であり,囊腫内容の腹腔内散布により腹膜偽粘液腫に至る危険性がある.当院では本症例をあわせると過去に虫垂粘液囊腫を5例経験しており,本症例を報告し,文献的考察を加えて報告する.
  • 柴田 英貴, 丹羽 浩一郎, 高橋 玄, 五藤 倫敏, 坂本 一博, 市川 純二
    2013 年 38 巻 4 号 p. 858-862
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は44歳,男性.下痢,粘血便を主訴に近医を受診し骨盤内腫瘤を指摘され,当院紹介となった.大腸内視鏡検査および注腸造影検査ではS状結腸に全周性狭窄が認められ,生検では高分化腺癌もしくは粘液癌が疑われた.CT検査では回盲部からS状結腸へ連続する腫瘤が認められ,右尿管との境界は不明瞭であった.以上より,S状結腸癌のほかに,S状結腸・右尿管に浸潤した虫垂癌も疑い手術を施行した.開腹すると,多量の腹水と大網に多数の播種結節が認められた.盲腸から回腸,S状結腸,右尿管に連続して一塊になった腫瘤を認め,原発性虫垂癌と診断した.根治手術不能と判断し,回腸横行結腸バイパスを施行し,S状結腸に人工肛門を造設した.大網の病理診断では粘液産生の目立つ腺癌であった.原発性虫垂癌は比較的稀な疾患であり,術前診断は困難であるが,回盲部の腫瘤性病変では本疾患も念頭において早期発見・治療することが重要と考えられた.
  • 伊藤 一成, 原 知憲, 三室 晶弘, 林田 康治, 須田 健, 星野 澄人, 片柳 創, 高木 融, 勝又 健次, 土田 明彦
    2013 年 38 巻 4 号 p. 863-868
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性,健診にて異常を指摘され上部消化管内視鏡検査施行しUlを伴う0-Ⅱc型の早期胃癌と診断された.術前検査として下部消化管内視鏡検査を施行したS状結腸癌を確認した.内視鏡的粘膜切除(EMR)施行し粘膜下層に1,200μm浸潤する早期S状結腸癌と診断した.今回,われわれは早期胃癌と早期S状結腸癌に対し一期的に腹腔鏡下幽門側胃切除術と腹腔鏡下S状結腸切除術を施行したので報告する.
  • 國重 智裕, 向川 智英, 石川 博文, 高 済峯, 渡辺 明彦, 関川 進
    2013 年 38 巻 4 号 p. 869-874
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,女性.左側腹部痛・発熱のため近医を受診した.腹部CTで横行結腸に腫瘤を認め,膿瘍形成も認められたため,当院で緊急手術を行った.病理診断はneuroendocrine carcinoma(以下,NECと略記)であった.術後補助化学療法としてXeloda療法を行ったが,術後1年10カ月目に局所再発をきたし摘出術を施行した.術後にXELOX療法を開始したが,再手術後6カ月目に局所再々発を認め,再度摘出術を施行した.全経過において遠隔転移は認められず,病理組織像は全て同一であった.再々手術後に他院へ転院となったが,転院先でも同部位に局所再発を認めた.NECは原発性大腸癌の約0.2%1)を占めるのみと稀で,早期から遠隔転移を伴う極めて予後不良な疾患である.今回われわれは局所再発を繰り返した大腸NECの1例を経験したので文献的考察を含め報告する.
  • 山村 喜之, 黒田 晶, 鯉沼 潤吉, 村川 力彦, 大竹 節之, 大野 耕一, 藤森 勝
    2013 年 38 巻 4 号 p. 875-879
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    胃癌術後の転移性大腸癌は比較的稀である.今回われわれは胃癌術後11年目に転移をきたした転移性大腸癌の1例を経験したので報告する.症例は80歳男性.11年前に胃癌に対して胃全摘を施行した.病理組織学的診断はmp,n1(+),por2,ly1,v0,StageⅡであった.今回,便潜血陽性のため近医にて下部消化管内視鏡検査を施行したところ,上行結腸肝彎曲部に粘膜のびらんと発赤を認めた.生検の結果GroupⅤ,signet-ring cell carcinomaの診断であり手術目的のため当科紹介された.
    胃癌術後の大腸転移疑いで右半結腸切除術,D3郭清術を施行した.免疫染色でCK7陽性,CK20,Cdx2が陰性であったため胃癌の転移性大腸癌と診断された.1991年から2011年までの20年間で胃癌の大腸転移に関する報告は35編,45例で死亡報告例での平均生存期間は11カ月と予後不良である.しかし,集学的治療により長期生存例も報告されている.今回,われわれは胃癌術後11年目に大腸転移をきたした1例を経験したので報告する.
  • 中川 綾子, 海保 隆, 柳澤 真司, 外川 明, 新村 兼康, 岡本 亮, 西村 真樹, 小林 壮一, 土屋 俊一, 宮崎 勝
    2013 年 38 巻 4 号 p. 880-886
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎(AIP:autoimmune pancreatitis)は診断基準が確立され広く認知されるようになったが,未だ鑑別困難な症例も存在する.下部胆管狭窄はAIPにおける高頻度随伴病変であるが,胆管癌を疑い切除されたAIP2例を経験したので報告する.
    1例目は66歳女性.アルコール性慢性膵炎の既往.糖尿病で通院中,肝機能異常を指摘された.下部胆管癌と慢性膵炎の合併と診断し手術.2例目は61歳男性.糖尿病で通院中に血糖コントロール不良,肝機能異常を指摘された.膵頭部の腫瘤,膵管不整狭細化と下部胆管狭窄を認めた.血清IgG,IgG4は正常,乳頭部の生検でもIgG4陽性細胞は少量でAIPの確定診断には至らず,下部胆管癌と腫瘤形成性膵炎の合併と診断し手術.いずれの症例も最終病理組織診断はAIPであった.血清IgG4低値症例,慢性膵炎の既往を有する症例などでは今後慎重な対応が望まれる.
  • 福田 賢也, 長田 真二, 今井 寿, 佐々木 義之, 田中 善宏, 松橋 延壽, 奥村 直樹, 野中 健一, 吉田 和弘
    2013 年 38 巻 4 号 p. 887-890
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,女性.急性膵炎を繰り返し,magnetic resonance imaging(MRI)にて体部膵管の数珠状拡張を指摘され,当院消化器内科紹介された.超音波内視鏡検査にて膵頭部主膵管狭窄部位に一致した門脈直上に1cm大の低エコー域を認めた.fine needle aspiration(FNA)でtubular adenocarcinomaが検出され,当科紹介となり開腹手術を施行した.術中超音波所見上門脈直上に主膵管の閉塞を認めたが明らかな腫瘤としては描出するに困難で,同部位に腫瘍が存在すると考え膵頭十二指腸切除術を選択した.病理組織検査所見は主膵管閉塞部に一致した部に中分化腺癌を認め,十二指腸乳頭に向けて非連続的に主膵管内の腫瘍進展がみられた.TS1膵癌といえどもリンパ節転移ないし周囲臓器への浸潤のみならず膵内での進展も考慮し確実なR0手術を目指した方針が重要であると考える.
  • 鈴村 和大, 黒田 暢一, 麻野 泰包, 宇多 優吾, 飯室 勇二, 平野 公通, 岡田 敏弘, 小坂 久, 鳥井 郁子, 藤元 治朗
    2013 年 38 巻 4 号 p. 891-896
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は59歳の女性.4年前に腎細胞癌にて左腎摘出術を施行後,外来にて経過観察中,膵頭部腫瘤を指摘され当科紹介.造影CTで膵頭部に約2cm大の造影効果のある腫瘤を認めた.ERCPでは腫瘤に一致して膵頭部主膵管にスムーズな狭窄像を認めた.FDG-PETでは膵頭部腫瘤に軽度のFDGの集積(SUV max 早期像3.0,後期像3.1)を認めた.以上の所見より,腎細胞癌の手術既往もあり,腎細胞癌膵転移の診断にて幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織検査ではclear cell carcinomaの所見で,腎細胞癌膵転移と診断した.術後は順調に経過し,第27病日に退院となった.腎細胞癌の膵転移は比較的稀である.その診断には膵内分泌腫瘍との鑑別が問題となるが,FDG-PET検査の有用性は今後の検討課題と考えられた.腎細胞癌術後から膵転移までの期間は比較的長く,術後は長期間の経過観察が必要と思われた.また膵転移に対しては切除にて長期的な予後が期待できる可能性があり,切除可能な症例は外科的治療を考慮すべきと考えられた.
  • 豊田 英治, 信藤 由成, 徳家 敦夫
    2013 年 38 巻 4 号 p. 897-904
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    患者は17歳,女性.幼少時より遺伝性球状赤血球症で経過観察を受けていたが,全身倦怠感,黄疸の出現のため,腹腔鏡下脾摘術を行った.
    腹部CTで脾腫を認めたため,脾臓の縮小と術中の出血コントロール目的に,手術前日に脾動脈塞栓術を行った.また手術に際しては,脾腫のため脾臓の授動が難しく,脾門部血管の先行処理を行った.
    脾動脈塞栓術による血流遮断と,前方アプローチによる脾門部先行処理を組み合わせることは,本症例のような脾腫を認める腹腔鏡下手術困難予想症例に対しても,安全に腹腔鏡下手術を行うことが可能であり,有用な方法と思われた.
  • 皆川 幸洋
    2013 年 38 巻 4 号 p. 905-908
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    脾臓の炎症性偽腫瘍(inflammatory pseudotumor,以下IPT)は稀な疾患である.特徴的な画像所見がなく,術前診断は困難であると一般的に言われている.診断的治療として脾臓摘出術が行われることが多い.今回われわれは,症例は73歳,男性.近医に高血圧症にて通院中,腹部エコーにて脾臓に腫瘍を指摘された.腹部CTにて40mm大の腫瘍を認め6カ月後のCTで増大傾向を認めるため手術目的に当科紹介となった.某年脾臓摘出術を施行した.病理組織学的には,脾臓内に境界不明瞭な不整形の腫瘍性病変を認め大型組織球の結節性増生巣を認め組織球はCD68陽性,一部S-100陽性であった.結合織は線維状で,網目状を示し増生しており反応性結節性組織球増殖性病変と考え広い意味での炎症性偽腫瘍との診断を得た.
  • 山本 謙一郎, 倉本 正文, 池嶋 聡, 増田 稔郎, 宮田 辰徳, 浦田 昌幸, 吉松 眞一, 江藤 健一郎, 谷本 昭英, 馬場 秀夫, ...
    2013 年 38 巻 4 号 p. 909-915
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は63歳女性.4年前,前医における尿路結石診断のためのCT検査にて,左腸骨前面に存在する2cm大の腫瘍を指摘されていた.徐々に増大してきたため当科紹介となった.左腸骨前面に接する4cm大の腫瘍を認めたが,経過ならびにCT・MRI検査にて積極的に悪性の所見を認めないことから骨盤内良性後腹膜腫瘍の術前診断にて,腹腔鏡下に腫瘍摘出術を施行した.特に周囲への癒着・浸潤はなく,腫瘍は完全に切除しえた.切除標本の病理組織学的診断にて,紡錘形の大型核多形性細胞を混在する腫瘍が束状増殖しており,免疫染色も併施し平滑筋肉腫と診断した.後腹膜腫瘍は症状もなく,CT検査にて偶然発見されることも多く,良悪性の術前診断に苦慮する場合も少なくない.画像診断の進歩により,比較的小さな腫瘍径で診断された後腹膜腫瘍は腹腔鏡下に安全かつ低侵襲に切除が可能であるが,悪性腫瘍を念頭においた完全切除が重要である.
  • 田中 貴之, 藤田 文彦, 三島 壯太, 伊藤 信一郎, 金高 賢悟, 高槻 光寿, 黒木 保, 江口 晋
    2013 年 38 巻 4 号 p. 916-919
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,女性.1973年より関節リウマチに対して副腎皮質ステロイド剤を長期内服中であった.2003年頃より腹壁中央部の膨隆を指摘されたが,脂肪腫の診断にて経過観察となっていた.2007年,腹部の膨隆が増大傾向にあるため精査・加療目的に当科を受診した.外傷や腹部手術の既往はなく,腹部CTにて上腹部正中部に間隙が存在しており,その中に腹腔内から連続性する脂肪組織の脱出を認め,大網を内容とした白線ヘルニアと診断した.術中所見では術前診断通り,脆弱化した白線部に欠損を認め,この部分をヘルニア門とした白線ヘルニアであった.ヘルニア門は単結紮縫合にて閉鎖を行った.術後経過は良好であり,現在も再発を認めていない.
  • 大橋 伸介, 朝倉 潤, 水野 良児, 羽生 信義
    2013 年 38 巻 4 号 p. 920-926
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    大網裂孔ヘルニアは稀であり,特有の所見に乏しいことから,術前に確定診断に至る例は少ない.今回われわれは腹腔鏡下に診断し,修復しえた大網裂孔ヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は86歳女性.心窩部痛を主訴に受診した.腹部CTで小腸イレウスを認め精査加療のため入院した.入院時,腸管虚血を疑わせる所見はなかった.翌日のX線でも上腹部小腸ガス像および症状の改善がなく,内ヘルニアを疑い診断治療目的で腹腔鏡手術を行った.術中,網囊内に小腸を透見し,大網に欠損孔があり同部位に小腸が陥入しており,大網裂孔ヘルニアと診断した.ヘルニア門となっている大網を切離し絞扼解除した.腸管の血流は温存されていたためヘルニア門を縫合閉鎖し手術を終了した.いわゆる無傷イレウスで内ヘルニアを疑った場合には,早期に腹腔鏡下に観察することで,診断はもちろんのこと,治療にも有用であると考えられた.
  • 渥美 陽介, 佐藤 勉, 利野 靖, 長谷川 慎一, 玉川 洋, 土田 知史, 大島 貴, 湯川 寛夫, 吉川 貴己, 益田 宗孝
    2013 年 38 巻 4 号 p. 927-931
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は63歳の女性で,39歳時に直腸癌に対して他医で腹会陰式直腸切断術・S状結腸単孔式人工肛門造設術を施行されている.ストーマ周囲の腹痛と嘔気を主訴に当院救急外来を受診した.左下腹部に傍ストーマヘルニアを伴った人工肛門を認め,人工肛門尾側外側に径約50mmのヘルニア門を触知した.腹部骨盤CT上ヘルニア門の最大径は55mmでヘルニア内容は横行結腸であった.ヘルニアは用手的に整復可能であったため,待機的に手術の方針となり腹腔鏡下ヘルニア根治術を施行した.S状結腸は後腹膜経路で拳上されており,拳上腸管に接して最大径70mmのヘルニア門を認めた.パリテックス™パラストーマルメッシュを用いてヘルニア門を修復した.手術時間は117分で,術後経過は順調であった.傍ストーマヘルニアの発生頻度は決して低くはないが,腹腔鏡下手術の報告は少ない.文献的考察を含めて報告する.
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