日本外科系連合学会誌
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症例報告
稀な組織型を重複した多発胃癌の1例
山村 喜之武藤 潤黒田 晶鯉沼 潤吉吉岡 達也野路 武寛村川 力彦大竹 節之大野 耕一菊地 慶介
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2013 年 38 巻 4 号 p. 795-800

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抄録

症例は74歳男性.腹痛を主訴に当院消化器内科受診.急性膵炎の診断にて加療し,膵炎改善後に上部消化管内視鏡検査を施行したところ,病変①胃体上部に3型腫瘍,病変②胃体中部後壁0-Ⅱa+Ⅱc型腫瘍,病変③胃体中部前壁に0-Ⅱa+Ⅱc型腫瘍,病変④0-Ⅱc型腫瘍を認め,生検の結果はいずれもadenocarcinomaの診断であった.手術目的のため当科紹介され,胃全摘術を施行した.病理組織診断の結果,病変①はリンパ球浸潤癌,病変②は胎児消化管上皮類似癌由来のAFP産生胃癌,病変③と病変④は通常型腺癌であった.Epstein-Barr Virus(EBV)感染との関連を検討するためEBER-1のin situ hybridizationを施行したところ病変①はEBV感染が確認された.また5個リンパ節転移を認め,すべてAFP陽性で病変②からの転移と考えられた.
今回われわれは稀な組織型であるリンパ球浸潤癌,胎児消化管上皮類似癌由来のAFP産生胃癌と通常腺癌を重複した胃癌を経験したので報告する.

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© 2013 日本外科系連合学会
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