日本外科系連合学会誌
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症例報告
腸間膜へ穿通した回腸憩室炎に対し腹腔鏡下に手術を行った1例
新庄 幸子竹村 雅至濱野 玄弥眞弓 勝志池邊 孝寺倉 政伸
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2013 年 38 巻 4 号 p. 830-835

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抄録

症例は28歳男性.5日前から右下腹部痛を認め当院を受診,同部位に圧痛と腹膜刺激徴候を認めた.腹部CT検査では,虫垂腫大や糞石などはなく,回腸末端を中心に腸管壁および腸間膜の肥厚と脂肪織濃度の上昇を認めた.血液検査で白血球は14,100/μl,CRPは9.18 mg/dlと上昇しており,虫垂根部の炎症か大腸憩室炎の穿孔による限局性の腹膜炎を疑い緊急手術を施行した.腹腔鏡下に観察すると,腹水はなく虫垂は正常で,回腸末端から盲腸にかけて炎症性変化を認めた.回盲部付近の肥厚した腸間膜の間隙より排膿を認め,回盲部切除を行った.病理組織学的には回盲弁から約2cm口側回腸の仮性憩室が腸間膜内に穿通し膿瘍を形成していた.術後経過は良好で術11日目に退院した.回腸末端憩室炎は稀な病態で,術前診断は困難とされる.今回,われわれの症例を含め本邦報告例を集計し報告する.

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© 2013 日本外科系連合学会
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