日本外科系連合学会誌
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症例報告
胃癌同時性多発肝転移に対するS-1+CDDP療法後に治癒切除可能となった1例
木村 準吉田 謙一佐藤 靖郎
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キーワード: 胃癌, 肝転移, 切除
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2013 年 38 巻 5 号 p. 1011-1016

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抄録

症例は70歳女性.健康診断の上部消化管造影検査にて胃病変を指摘され,上部消化管内視鏡検査にて胃体下部~噴門部の小彎前壁に存在する3型胃癌と診断され当院当科に紹介受診となった.腹部造影CT検査で胃小彎に12mm大に腫大したNo.3リンパ節を認め,肝S2,S3,S8にそれぞれ径9mm,9mm,22mm大のリング状に造影される低吸収域病変を認め胃癌の多発性肝転移と診断した.S-1+CDDP,3週投与2週休薬を4コース施行し,その後の腹部造影CT検査では肝S8の腫瘤が8mm大に縮小しており,他の肝転移巣,No.3リンパ節も消失していた.治癒切除可能と判断し胃全摘術,肝S8部分切除術,胆囊摘出術,D2リンパ節郭清,R-Y再建を施行し,術後1年6カ月無再発生存中である.多発性の胃癌肝転移でも化学療法を併用し,切除の可能性を常に念頭に置いて診療を行う必要があると考えられる.

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© 2013 日本外科系連合学会
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