抄録
虫垂憩室炎は術前診断が困難であり,また本邦では比較的稀な疾患である.今回化学療法中に発症しCTで術前診断しえた虫垂憩室炎を経験したので報告する.症例は66歳男性.当院耳鼻科で中咽頭癌の診断にて化学療法開始された.加療後6日より腹痛出現し,10日後には発熱および右下腹部に限局性の圧痛,反跳痛を認め,白血球1,800/µlであった.CTにて虫垂憩室炎の診断で当科紹介され,同日腹腔鏡下虫垂切除術施行し,その後経過良好で退院した.病理組織学的検査では仮性憩室の虫垂憩室炎であった.虫垂憩室炎は穿孔率が高く欧米では無症状でも予防的に手術するのが主流であるが,本邦では一定の見解が得られていない.穿孔の可能性が高いことから保存的加療でなく手術を選択する必要があると思われた.また今回の症例では術後化学療法再度施行し白血球減少時に結腸憩室膿瘍を発症した.免疫機能低下患者には厳重な注意が必要である.