抄録
症例は56歳,女性.左乳房腫瘤と左腋窩リンパ節を触知し,細胞診で腫瘤および腋窩リンパ節から悪性所見が得られた.針生検で乳腺浸潤性微小乳頭癌(IMPC)と診断され,ER陽性,PgR陽性,Her2陰性,Ki67 35.2%であった.術前化学療法(EC4,PTX12)を施行し,CTでは原発巣,リンパ節ともCRの状態になり,乳房温存術およびリンパ節郭清術を施行した.病理検査で腫瘍のほとんどは肉芽腫様組織や線維化巣となり,リンパ節に転移を認めなかった.術後照射とAI剤の投与を開始し,術後3年7カ月後の現在,再発の徴候なく経過している.本症は予後不良とされ,乳房切除術を施行される例が多いが,本例のように化学療法が奏効し,ER陽性例に対しては乳房温存療法および術後内分泌療法も選択肢になりえることが示唆される.