抄録
今回われわれは,S状結腸SM癌の内視鏡的粘膜切除術後,リンパ節転移とその治療経過中に乳腺転移をきたした1例を経験したので報告する.症例は42歳,女性.2008年,近医でS状結腸ポリープを指摘されEMR施行.病理組織学的にS,0-Ip,10×10mm,pSM,ly1,v0,pHM0,pVM0と追加切除の適応で前医に紹介されたが,全身リンパ節転移がみられ,当科でmFOLFOX6+bevacizumabを施行.CRを得たが7カ月後再燃し,2次治療にFOLFIRI+bevacizumab,3次治療にirinotecan+cetuximabを施行した.3次治療開始2週後,左乳房に発赤と腫脹が出現し,乳腺超音波検査で左乳腺に,びまん性のlow echoic lesionを認め,CTでは左腋窩リンパ節腫大に加え,乳腺の腫大,不整な造影効果を認めた.針生検ではリンパ管を中心に腫瘍細胞が充実胞巣状から充実腺管状に増殖しており,癌性リンパ管症の所見を認めた.免疫染色の結果より大腸癌の乳腺転移と診断した.その後全身状態は急速に悪化,乳腺転移から1カ月後に原癌死した.