抄録
症例は62歳の男性で心窩部痛と悪寒にて受診.腹部CTにて遊離ガス,腹水および噴門から胃上部の壁肥厚を認め,進行胃癌穿孔を疑い緊急手術を施行した.食道胃接合部(esophagogastric junction:EGJ)と横隔膜が一塊となった腫瘍を認め,穿孔部は胃体上部前壁であった.一期的切除は困難と判断し,経鼻胃管も挿入できなかったため腸瘻を造設した.精査でEGJに高度狭窄を伴う低分化型腺癌を認め,Stage Ⅳ胃癌と診断しS-1とCDDP併用化学療法を行った.経口摂取困難のため,S-1は腸瘻より経腸栄養とともに投与した.2コース施行後の画像検査にて主病変の縮小と腫大したリンパ節の消失を認め,治療効果は部分奏効(PR)と判定し,根治目的にて胃全摘(D2郭清)・脾合併切除術を施行した.組織学的効果判定はGrade 2であった.上部消化管閉塞による内服不能例であっても,積極的に腸瘻を造設しS-1+CDDP併用化学療法を実施することは,高度進行胃癌に対する治療として検討に値するのではないかと考えられた.