抄録
症例は70歳女性.乳癌検診にて右乳癌を疑われ,前医での検査により左乳房にも小腫瘤を認め,両側乳癌と診断された.当院では確定診断のため針生検を施行し,両側粘液癌と診断した.全身検索において両腋窩リンパ節腫脹を認めず,また遠隔転移も認めなかった.超音波検査では右乳房ACE領域に2.5cm,左乳房EAB領域に1.5cm大の腫瘍であったが,本人の希望で両側全乳房切除術+センチネルリンパ節生検を施行した.病理学的所見は両側粘液癌,右側は乳管内進展(以下EIC)を認めなかったが,左側は乳頭方向にEICを認めた.いずれもER陽性,PgR陽性,HER2陰性,Ki67は3%以下で,増殖能はlowと判定された.術後内分泌療法としてAI薬を投与中である.同時性両側粘液癌は極めて稀であるので,文献的考察を加えて報告する.