抄録
症例は69歳,女性.下部進行直腸癌の診断で,術前化学放射線治療後に腹腔鏡下超低位前方切除術,上方D2リンパ節郭清術,回腸双孔式人工肛門造設術を施行した.化学放射線治療開始後から約4カ月,直腸切除術後から約2カ月後に,腹痛と発熱と血性下痢を主訴に来院した.来院時のCT検査で,消化管穿孔の所見を認めたため緊急手術を施行した.術中所見では,人工肛門造設部より約15cm口側の回腸に穿孔を認めた.直腸癌治療後の経過,術前画像診断,術中所見を考慮した結果,特発性小腸穿孔と診断した.手術は穿孔部縫合閉鎖と洗浄ドレナージを行った.病理組織学的な所見がないため確定診断には至らないが,放射線治療による晩期障害に起因する小腸穿孔が鑑別に挙げられた.非常に稀な疾患である特発性小腸穿孔の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.