抄録
症例は54歳の男性で,下血で当院救急外来を受診し,精査の結果直腸癌の診断を得た.2カ月前に脳梗塞を発症し,脳神経内科で精査加療中であった.術前CTおよびPET-CTでは遠隔転移を認めず,低位前方切除術(D2)を施行した.術中肝全域に無数の転移巣を認め,病理組織所見で腺内分泌細胞癌の診断を得た.術後,出血性胃潰瘍でショック状態となり,内視鏡的に止血し,大量の輸血を施行したが,徐々に肝不全傾向に陥った.術後約1カ月よりmFOLFOX6を計3クール施行したところ,急性胆囊炎など,合併症を発症し,最終的に肝不全および腎不全が原因で,術後約3カ月で死亡した.今回は大腸癌としてmFOLFOX6を行ったが,米国NCCNガイドラインによれば本症は肺小細胞癌に準じた化学療法を推奨する考えもある.わが国における腺内分泌細胞癌の化学療法の確立が期待される.