抄録
十二指腸上行部上壁GISTに対する腹腔鏡下十二指腸局所切除術の1例を報告する.患者は46歳の女性.全身倦怠感を主訴に近医を受診した.精査にて十二指腸上行部に5cm大の粘膜下腫瘍を認め,超音波内視鏡下穿刺生検(EUS-FNA)で,紡錘形細胞の束状増生と,c-Kit(+),CD34(+),α-SMA(-),S-100(-)の所見よりGISTと診断した.手術は腹腔鏡下に十二指腸上行部を授動し,腫瘍を含む十二指腸の全層局所切除を行い,腸管欠損部は仮縫合後に自動縫合器で閉鎖を行った.術後合併症はなく,術後第8病日に退院となった.病理検査では6cm大の中リスクのGISTと診断された.現在,術後3年6カ月経過し無再発生存中である.十二指腸上行部に生じたGISTに対する腹腔鏡下十二指腸局所切除術は,選択肢となりうる術式であるが,適応を慎重に検討することと,腹腔鏡の手技に慣れた術者が慎重に手術操作を行うことが必要であると考えられた.