抄録
症例は50歳男性.心窩部痛,嘔吐にて受診したが,来院直後に意識消失,血圧低下を認めショック状態となった.来院時,腹部膨満,ならびに腹部全体に圧痛と筋性防御を認めた.腹部CT検査で血性腹水ならびに膵頭十二指腸周囲に巨大な血腫と造影剤の血管外漏出を認め,3D-CTで16mm大の前下膵十二指腸動脈瘤を認めた.輸液負荷後も循環不安定でショックよりの離脱が困難にて緊急開腹術を行った.開腹時,腹腔内,後腹膜に大量の血液の貯留を認めた.膵鉤部下縁で動脈性出血を認め下膵十二指腸動脈瘤破裂と診断し,動脈瘤を縫縮し止血した.術後少量の出血が続き血管造影を施行するも活動性の出血は認めず,再出血予防のため下膵動脈に経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)を追加した.膵十二指腸動脈瘤は稀な疾患で,破裂症例は予後不良である.今回手術ならびにTAEにより救命した1例を経験したので,自験例を含めた本邦報告103例を検討した.