抄録
45歳,男性.近医で直腸癌の診断を受け当科紹介となった.腹部CTで肝S6に2.5cm大の転移を認め,原発巣の膀胱への直接浸潤も認めた.骨盤内臓全摘術の適応と考えたが,患者が望まず,横行結腸人工肛門造設の後に化学療法を施行した.XELOX療法を開始したが3コース施行後に腫瘍マーカーの増大を認め,Irinotecan+S-1+cetuximab(IRIS+C-mab)療法に変更した.同化学療法を4コース施行したところ原発巣および肝転移巣は著明に縮小したため切除可能と判断した.膀胱は温存した上,Hartmann術および肝部分切除術を施行しR0の手術が可能であった.術前IRIS+C-mab療法は,膀胱浸潤を認める進行直腸癌において膀胱温存のための集学的治療の一つとして有用であると考えられた.