抄録
急速な増大のために高分化型脂肪肉腫(WDLS)との鑑別を要したSpindle cell lipoma(SCL)の1例を経験した.症例は67歳の男性である.初診の2年前に項部の腫瘤を自覚した.初診時には4×4cm大であり,発生部位と画像所見からSCLを疑い切除の方針としたが,患者の都合で診療が中断となった.1年6カ月後の再診時には,腫瘤は10×9cm大と急速に増大しており,WDLSが疑われた.MR画像では脂肪成分と非脂肪成分が混在しており,非脂肪成分はT1強調像で筋肉と等信号,T2強調像では高信号を呈し,Gdで造影された.針生検ではWDLSが疑われ,広範切除を行った.組織像は成熟した脂肪組織の増殖とCD34陽性の紡錘形細胞を認めSCLと診断した.術後1年5カ月の時点で再発はない.本例はMR画像検査と針生検を行ったがSCLとWDLSとの鑑別は困難であった.術前診断には切開生検が必要であろう.