抄録
症例は52歳,男性.Barrett食道癌に対して,腹腔鏡補助下下部食道・胃全摘術,R-Y再建,D1郭清を施行.術後3時間より,突然の胸痛と呼吸困難が出現.胸部CTにて左胸腔内に拡張した再建挙上空腸を認めた.挙上空腸左胸腔内脱出と診断し,同日緊急手術施行.術中所見では,食道裂孔より挙上空腸が左胸腔内へ脱出し嵌頓していた.腹腔内に還納すると,腸管うっ血は直ちに改善し明らかな壊死はなかった.開大した食道裂孔を縫縮し手術を終了した.術後SSIを認めたが,術後第21病日に軽快退院した.腹腔鏡補助下下部食道・胃全摘施行後に挙上空腸が左胸腔内に脱出した報告は少なく,文献的考察を加えて報告する.