日本外科系連合学会誌
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症例報告
小腸憩室穿通の1例
柳 舜仁佐々木 敏行佐々木 優至小村 伸朗矢永 勝彦
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キーワード: 小腸, 憩室, 穿通
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2015 年 40 巻 1 号 p. 66-69

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抄録

症例は62歳男性,右下腹部痛を主訴に来院した.体温は38℃と発熱を認め,右下腹部に限局する圧痛・反跳痛を認めた.CT検査にて,小腸周囲の脂肪織混濁と腸管外ガス像を認め,小腸穿孔の診断で緊急手術を行った.開腹すると混濁した腹水を認めた.小腸には全長にわたり憩室が散在し,特にTreiz近くの上位空腸と回腸末端近傍に多く認められた.回腸末端より約50cm口側の小腸で,憩室に白苔付着,発赤を認めた.周囲腸間膜も発赤しており,腸間膜への穿通と診断し,同部位の小腸を20cm切除した.摘出標本の肉眼所見では切除した回腸に憩室を認めた.病理組織学的所見では筋層を貫く仮性憩室が漿膜に達し,炎症細胞が漿膜に達していた.術後経過は良好で第14病日に退院となった.今回われわれは,回腸憩室穿通による腸間膜炎を引き起こし,緊急手術を要した稀な1例を経験したので報告した.

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© 2015 日本外科系連合学会
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