日本外科系連合学会誌
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症例報告
異所性消化管組織を伴わないMeckel憩室が先進部となった成人腸重積症の1例
藤川 善子青山 徹林 勉藤川 寛人沼田 正勝山田 貴允和田 博雄木谷 勇一小澤 幸弘佐藤 勉山本 直人湯川 寛夫大島 貴吉川 貴己利野 靖益田 宗孝
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キーワード: Meckel憩室, 成人, 腸重積
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2015 年 40 巻 1 号 p. 81-84

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抄録

腸重積症は小児に多く認められ,成人では比較的稀な疾患とされている.われわれは,異所性胃粘膜を伴わないMeckel憩室が内翻して腫瘤を形成し腸重積を発症した症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は44歳,女性.手術歴に2回の帝王切開があるが,家族歴・既往歴に特記事項はない.2013年12月上旬ごろから間欠的腹痛が出現した.2013年12月10日夜より持続的な腹痛となったため,12月11日当院内科を受診した.腹部所見で右下腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知.腹部単純写真で腸閉塞像を認め,CT・超音波検査で腸重積と診断,手術目的に外科紹介となった.開腹所見では回盲部から上行結腸肝彎曲付近まで上行結腸の拡張および腸管に4cm程度の腫瘤を触知した.Hutchinson手技で重積を整復したところ,回盲部から50cm口側の部位に直径4cm程度の腫瘤を認め,小腸の部分切除を施行した.腫瘤を検索するとMeckel憩室が内翻していた.このため,本症例では内翻したMeckel憩室が先進部となり腸重積をきたし,腸閉塞に至ったと考えられた.術後は合併症なく軽快退院した.また,病理組織検査では異所性組織はなく悪性像も認められなかった.

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© 2015 日本外科系連合学会
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