日本外科系連合学会誌
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症例報告
虫垂Goblet Cell Carcinoidの1例:本邦57例の検討
正司 裕隆今 裕史石川 隆壽柴崎 晋本間 重紀川村 秀樹高橋 典彦武冨 紹信
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2015 年 40 巻 2 号 p. 266-272

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抄録
虫垂goblet cell carcinoid(虫垂GCC)の大多数は虫垂切除後に診断されるが,追加切除の適応には定まった基準がないのが現状である.今回,虫垂GCCの1例を経験し,本邦での虫垂GCC報告例の集計よりリンパ節転移頻度と追加切除の適応基準を検討したので報告する.症例は80歳男性.腹痛の精査加療目的に当院紹介となり,CTで急性虫垂炎穿孔と診断され腹腔鏡下虫垂切除術が施行された.術後病理組織学的検査所見で深達度SSの虫垂GCCと診断され,2期的に腹腔鏡補助下回盲部切除,D3郭清が施行された.切除検体に遺残病変はなく,所属リンパ節に転移は認めなかった.本邦報告例の集計による検討では,虫垂GCCは壁深達度の進行とともにリンパ節転移の頻度が上昇し,SSでは13%にリンパ節転移を認めた.追加切除基準のひとつに壁深達度を考慮し,SS以深ではリンパ節郭清の追加を検討すべきと考えられた.
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© 2015 日本外科系連合学会
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